自然災害には、強風・雷・洪水などの気象災害と
地震・津波・噴火などの地象災害があります。
更には二次災害として、停電・断水・火災なども考えられます。
巨大化する自然災害に強い家づくりは、丈夫な構造から始まります。

地盤

基礎と同じくらい大切なのが、実は地盤です。

家を建てるときに「基礎は大事だからしっかりした基礎を」とみなさんお考えのことと思います。しかし、その基礎を語る前に知っていただきたいのが、家を建てる土地、地盤のことです。土地の表面を見ただけでは分からないので、とても大切な部分です。
 
いくら頑丈な基礎を作っても、地盤が弱ければ、何の意味もなくなってしまいます。そこで、この“地盤”のことを少しご説明させていただきます。小学校の理科で少し学んだ記憶があるかと思いますが、私たちが家を建てる土地は地層といわれる遥か昔から堆積した層によってできています。この層の中には、砂質の層もあれば、粘土の層もあります。また、砂利や砕石程度の石で成り立っている層、細かい粒子の砂が固まっている層や岩盤などもあります。さて、私たちが家を建てる場合、どの層の上に建てると強い家が建つのでしょうか・・・。
 
もう少し具体的な例を挙げますと、昔の沼を埋めたてた土地だったり、山の斜面を削った土地だったり、川沿いで過去に氾濫や護岸の変形などを繰り返していた土地だったり、また、最近田んぼを埋め立て分割して販売している土地もあれば、明治時代から家が建っていた土地もあります。それぞれその土地の硬さややわらかさが違いそうだな・・・となんとなくイメージしていただけるのではないでしょうか。
 
もうひとつ大切なのが、表面のもっと下、中の地層がどうなっているかを知らないと、家の重さで傾いてしまったり、地すべりを起こしてしまったりするのです。そこで、私たちはまず、家を建てるために地盤の硬さを調べます。これが、地盤調査といわれるものです。
地盤調査により判明した地盤の強さによって左右されるのが予算です。地盤が弱いと図のように硬い地層に届くように杭を何本も打つ補強工事が必要になります。その長さや本数によって費用が変わってくるので、土地から購入される方の場合は、いくら土地代が安くても補強工事に費用がかかってしまい、逆に高い買い物になる場合も多々あります。私たちの役目は地盤の強さも含めて、トータルにアドバイスをさせていただくことです。

基礎

やっぱり基礎は大切!!

私たちは、他社の仕事をじっくり見る機会がないため、お客様とのお話の中で初めてその違いを知ることも少なくありません。その一つの例が基礎工事です。
基礎は、建物全体を支え、その重さを地面へと伝える構造上もっとも大切な役割があります。松匠創美の基礎の仕様は、主にベタ基礎を採用しています。その良さは強さだけではなく、地面からの湿気も防ぐ効果があります。また、基礎の鉄筋の太さや間隔、メンテナンスで基礎の中を人が行き来できるようにするために設ける人通口の位置も、構造的な弱点となる事があるため、しっかり検討して設計します。
 
工事が始まると、鉄筋が図面通りに正しく組まれているか、型枠が正確な位置に設置されているか、アンカーボルトは先付けでしっかりと固定されているか、コンクリート強度は適正か、養生期間は十分かなど、細部にわたって確認をします。とても重要な工程ですのでその都度品質管理をしっかりとしながら進めます。
 
また、基礎のきれいな仕上がりは強さと直接関係あるかというと、もちろんそうではありません。鉄筋を組んだ状態だけでもその違いはわかるのですが、きれいな仕上がりは施工をしている職人たちの、神経の行き届いた仕事の結果だと言えます。配筋は職人が鉄筋一本一本を、組んでいく手作業です。そして、流し込むコンクリートも、型枠の隅々にまでしっかりと行き渡るように、手に伝わる感触を確かめながら進める手作業です。そこには法規で決められた回数や箇所を作業すればOKという発想だけはない、質へのこだわりがあります。

木軸組み

お客様とともに感動を分かち合いたい

日本では昔から、まず柱を建て、梁と桁(ハリとケタ)を渡して屋根をかけ、家をつくってきました。このように木の柱や梁桁を基本に組まれているものを“木軸組”といいます。在来工法と呼ばれている建物はこの方法で建てられています。
 
木軸組の家は、土台・柱・耐力壁・床組・小屋組によって構成されています。それぞれがしっかりと接合されて荷重や外力に対して抵抗をして、家が歪んだり傾いたりするのを防ぎ、中で暮らす私たちが安全な毎日を送ることができるよう守ってくれているのです。
 
松匠創美の役目は、家を建てるのに使う木の年齢以上、住み続けていただける、安全で長持ちする家を建てることだと考えています。
森の循環サイクルは60年~100年といわれています。それは、材木が切出せるまで生長するには、およそ60年かかるからです。その歳月を二代、三代かけて、山の人たちが育てた木だからこそ、大切に使いたい。住み継ぐ家にしたい。年輪を重ねた材料を使って建てた家が、まだまだ寿命を残し、30年という短い期間で壊されている現状にとても心が痛み、地球環境保護の視点からも“もったいない”と思うからです。
 
そんな思いを込めた”住み継ぐ家”を作り上げるために必要なのが、愛される家であることです。将来にわたっての生活の変化、たとえば家族構成の変化や世代交代にも柔軟に合わせられるようリフォームしやすい工夫を凝らすことや、増築や減築工事などにも耐えられる“木軸組”であるということが求められます。
 
そのためには最初に計画する段階から、構造的に無理がなくバランスのとれた間取りであることと、未来の変化を許容するおおらかな計画がとても大切になってきます。そこで、私たちはお客様とお打ち合わせをするとき「夢物語でもいいので、どんどん未来の生活を語ってください」とお願いし、出てきたいろいろな可能性を考慮し造り込み過ぎない明快な木軸組を設計するように心がけています。このような家のフレキシビリティの高さ、可能性にこそ、木軸組の家の良さがあると自信を持っています。
 
このようにじっくり計画した木軸組みが、目の前に組みあがっていく記念すべきお祝いの日が“上棟(建前)”です。できるだけお客様も立ち会っていただけるように、ご都合の良い日を選んで行います。大勢の大工が気持ちを一つにして、4寸角の土台や柱を始め、しっかりした太さの木材が目の前に組み上げられていく光景。この日の時間の流れを見ていると私たちでさえ何度体験しても感動しますから、我が家であるお客様にとっては、感激はひとしおのことと思います。