投稿

■ 第47号 ■

■□・・――――――――――――――――2011年05月25日

木の家を知る・建てる・暮らす

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□ 目次

【1】 こんな感じに過ごしています 「 不思議な丘 」

【2】「 耐震診断・耐震改修 」

【3】 家づくりのことば  「 テスリコ 」

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□こんな感じに過ごしてます・・・

こんにちは 田村です。

前回紹介しました「葉山芸術祭」などで 「すこし高台ショップ*1」(2021年3月で閉業)というお店を出しているまみさん夫婦から「自宅を引っ越ししました。」とハガキをいただきました。(*1 まみさん夫婦が お友達のかなえさん夫婦のお家で一緒に開いている 植物やハンドメイドバック・小物などが並ぶお店です。)

以前住まわれていたお家は 窓の外が深い森になっていて どこかの別荘地にでも来たかのような感動を覚えただけに そこから転居するなんてもったいないなぁ と正直思いましたが「今度は裏山が竹藪なんですよ。」という事で場所を聞いてみると 通勤の際自転車で通る道沿いの 私の家からも近い丘の麓でした。

先日お邪魔した際 案内された部屋の窓から外を眺めると なるほど竹がシュシュッと沢山伸びた斜面が見えました。

実はここ 私がまだ小学生の頃祖父から「この丘の木を切り倒そうとすると 必ず怪我や病気になるんだよ。」と教えられていた不思議な丘なんです。
悪く言えば“祟り山”ですが・・祖父の話によると 源頼朝の時代にこの辺りで戦があり その落ち武者がまださまよっていて この森を守っているとか 他にもちょっと怖かったり不思議な話をしていました。

まぁ 都市伝説みたいなお話で ちゃんとした証拠もないので私をからかっていただけだと思いますが なんとなく今でも特別な場所なのではないかと遠目に眺めていましたから まみさんに「山頂に小さな広場があるよ。」と教えてくれた時は ちょっと驚きました。
人が入って大丈夫なの・・・?と。

後日それを確かめに 仕事帰り寄ってみると 山道の入り口付近は思いのほか住宅が並んでいましたが 一歩中に入るとと竹林が広がっています。少々時期が過ぎましたが竹の子も生えていたりして 1本頂いて帰ろうかと思ったくらいです。

そこから進んで行くと けっこうな急斜面になっていて 丘と言うより山のようで階段がなければ登れないくらいです。2~3分ほどですが広場に付いたときはハァハァ・・と息を吐いていました。

辺りは竹から背の高いモチノキの林に変わっていて 夕方でしたので他に人影もなく 祖父の話もあって(笑) 益々不思議な場所にいるように思えてきました。ちょうど“トトロの住む森”のような感じでしょうか。

麓には「葉山大道(はやまおおみち)」という大きな交差点もあって 車の通りも頻繁なのですが 町中にいることを感じられないほど木々が生い茂りとても静かでした。。

家の近くに自然が大切に残されているのは ちょっと怖い話がおまけについていてもいいものだなぁ と思います。人(私)が入っても大丈夫でしたから 麓に住むまみさん夫婦はいい場所みつけたなぁと なにか特別なお家のようにみえて 以前にも増してちょっとうらやましかったりして。

この不思議な丘 本当は葉山緑地と言って「かながわトラストみどり財団」が保存・管理している保全緑地なんです。
葉山町には この他にも長柄緑地や葉山堀内緑地などいくつかの緑地があります。 いつもそばにある事を忘れがちというかあたり前に思っていましたが こうして大切に残されていると言う事を改めて知りました。

20110522 葉山緑地 002

こうした緑を壊すことなく これからも暮らしていきたいと思いました。

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□ 「耐震診断・耐震改修」

こんにちは、設計の田中です。

先日、久保が11年前に設計をさせていただいたお客さんから連絡を受け、ご自宅に伺わせて頂きました。

お客さんは東北地方太平洋沖地震の後に色々と不安になってしまったとの事でしたので、自宅の耐震性も含めて検査調査をさせて頂くことになりました。
地震後は「耐震診断」が急上昇検索ワードの上位にあったこともありますので、今日は耐震診断について、ご紹介させていただきたいと思います。

1995年1月、兵庫県南部地震が発生しました。ビルが道路に横たわり、途中階がすっかり折れて無くなり、細い道路で密集した木造家屋の町並みはがれきの山と化していました。多発的に発生した火事や倒れた高速道路をヘリコプターから撮影した映像は、とても現実のものとは思えませんでした。

この大災害を踏まえ、同じ年の12月に耐震改修促進法が施行されました。
兵庫県南部地震では、1981年の建築基準法改正(新耐震基準)以前に建てられた建物に被害が集中したことが調査の結果で判明しました。
この1981年以前に建てられた建物の耐震強度を現行の法律に見合うように、診断し、改修することが法律の大きな目標になっています。

木造住宅の耐震診断では、
1・建物の床面積、平面と立面の形状から必要な耐力を求めます。
2・地盤や基礎、建物本体の劣化を考慮した保有耐力を求めます。
1と2で求めた必要耐力と保有耐力から建物の倒壊の可能性についての判定をします。
判定の種類は、「倒壊しない」「一応倒壊しない」「倒壊する可能性がある」「倒壊する可能性が高い」の4種類になっています。
改修工事する場合、「倒壊しない」「一応倒壊しない」を目指して行います。

兵庫県南部地震の後では、耐震診断をせずに飛び込み営業で、無計画に高価な金物補強をする事業者が増え問題になりました。
そのことが影響したかは判りませんが、耐震診断が始まって10年間は、思うような成果が上がらなかったようです。

2006年の法律の改正に伴って、知識の向上と普及の為に技術指針がまとめられ、地方行政による促進計画の策定がなされました。今では、皆さんがお住まいの市役所でも、登録診断士、耐震診断の補助金、耐震改修の補助金が用意されていると思います。その他にも、資金面では銀行ローンもあり、改修によって床面積が増えてしまうことに対する法律の緩和措置もあります。

古い家屋を耐震改修をすることことは、人命の安全や財産の保護の予防をすることばかりではなく、町の財産を守ることでもあると思っています。
そして、地震が起きたときには避難路や輸送路の確保に繋がり、仮設住宅の減少、円滑な救助活動、早期の復興に大きく影響してきます。

日本の古い家屋をお持ちの方や興味のある方は、前向きに考えて見ることもお勧めしたいと思います。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

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□家づくりのことば・・

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

○テスリコ

手すりは 階段を登り降りする時 体を支えるために手を添える横に伸びた棒状の物ですが その手すりの間から人が落下しないために縦に付いている材を「手摺子」と言うのだそうです。

まず 縦に同じ間隔で並んだ格子状になっているものがほとんどだとおもいますので 私はことばがあるとするなら「手摺格子」と言うものではないかな と思っていました。

“格子”ではなく“子”だけなのは 何故なんでしょう?

と不思議に思っていましたら 皆で私にわかりやすいようにと階段が載ったカタログをひっぱり出して見せてくれました。

そこには親柱(オヤバシラ)という 手すりを支える端や曲がりの部分にある太い柱と 子柱(コバシラ)という 補助的な細い柱の写真が載っていました。

その子柱が 手摺子と呼ばれるものでした。
親子の子だったんですね。

私は縦に並んだ柱は同じことばなんだと勘違いしていた訳です。
ざっくりしてました・・。

デザイン上などで 手摺子が付いていない階段を見かけることも多いですが 高いところが苦手な私には必要なことば(部材)だと今回よくわかりました。

○手摺子(テスリコ)=子柱
手すりを支持し、手すり下部からの落下を防止するための格子状の部材。 「建築用語辞典 岩波書店」より

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☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美

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