投稿

■ 第51号 ■

■□・・―――――――――――――――2011年07月20日

木の家を知る・建てる・暮らす

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

□ 目次

【1】 こんな感じに過ごしています 「 信州の旅 」

【2】 「 サザエさんスタイルの家 」

【3】 家づくりのことば  「ノボリバリ 」

―――――――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・―――――――――――――――――――――――――――――

【1】 こんな感じに過ごしてます・・・

こんにちは 田村です。

昨年に続き連休を利用して長野県の松本市・須坂市・上田市などへ遊びに行って来ました。

前回は相方任せの旅でしたが 今回は偶然葉山の本屋さんで見つけた「松本十二か月」という松本市在住の料理・雑貨スタイリストである伊藤まさこさんが書かれた本を手に その中に紹介されている色々なお店をいくつか巡ってみました。

明治から昭和初期に建てられたと思われる古い建物や蔵などを 上手に改修して洋服・雑貨や パン・カフェのお店を開いている30代とみられる若いオーナーさんが多く 中には葉山から遊びに来たと告げると「私も横浜出身で こちらに遊びに来ているうちにお店を持つことになりました。」と言う話も聞きました。

「お二人も是非こちらで商売しませんか?」と誘ってくださる方もいたりして(笑) 皆さん「この街が大好きなんです。」という気持ちが熱く伝わってきました。

若い方だけでなく 150年続く水飴屋「新橋屋飴店」さんやお宝自転車が隠れている「岡田バイシクル」さん(松本市) 甘味処「富士屋アイス」さん(上田市)の 元気なおじいさん、おばあさんにもお店の歴史や町の情報などを教えていただいたり 面白いお話が沢山聞けました。ひとつ1つ 順を追ってお話をしたいくらいなのですが・・かなりの量になる危険がありますので我慢します。

長野2011071718 013

そんな沢山の出会いを通して 広い空と緑深い山々そこに流れる豊かで澄んだ水が 心温かい人達を育てているんだなぁと 今回の旅で強く感じとることができたと同時に 私の住む葉山にも 海と山とそこに暮らす人達のゆったりとした時間の流れに魅力を受けて県外から移り住み 素敵なお店を開く方たちが増えていますので どこか共通するものがあると思わずにはいられませんでした。

「葉山も自然が豊かでいいところですよね。」と 誉めていただいたりもして なんだか嬉しくなってしまいました。

それから 最近長野では大きな地震が起きたばかりでしたので 被害状況はどの様な物だったのか心配しましたが 伺ったそれぞれのお店や昨年もお世話になった旅館「金宇館」さんも 建物は大きく揺れましたが特に被害はなかったと言う事でほっとしました。
ですが 震源だった松本市では 松本城や市内の一部で 壁などが剥がれ落ちる被害が出たと聞きました。被害に遭われた方々には こころよりお見舞い申し上げます。

松本 2010_0718 025

ご縁があって出会えた方々には 歴史のある建物が多く残る街並みをこれからも大切に残して頂きたいこと そしてご親切にして頂いたことへの感謝の気持ちで一杯です ほんとうにありがとうございました。 また 遊びに行かせていただきます。

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

【2】 「 サザエさんスタイルの家 」

こんにちは、設計の田中です。

先月、2棟の新築住宅が完成しました。
今号と次号は、この2棟についてご紹介したいと思います。

今週は「サザエさんスタイルの家」です。

クライアントとの出会いは、おもしろいつながりからでした。
実は、クライアントとは、お世話になっている動物病院が一緒だったことがご縁です。
看板犬の空がいつもお世話になっている病院で、いろいろとお話をしていて、先生が大工仕事に大変興味を持っていらっしゃっていて、よく家づくりの話で盛り上がっていました。
一方、クライアントも動物病院の先生と色々な話をする中、家を建てたいと思っているという話題になったそうです。
そんなことから松匠創美をご紹介していただくこととなりました。

家づくりのコンセプトは、結婚を期に一度離れて暮らしていた娘夫婦と完全同居型二世帯住宅(サザエさんスタイル)で暮らす家です。

家族の構成は、クライアントご夫妻と末っ子がお一人。娘夫婦と孫二人。その他にも家族同然の猫、小鳥にウサギとにぎやかです。

敷地は、住宅街の丘の上に位置していて、道路を挟んだ向かい側には緑あふれる大きな公園があります。採光を邪魔する物は殆どなく、風もよく抜けます。

クライアントのご要望は、家族にそれぞれの空間を確保したいというものでした。

設計では、1階にクライアントご夫妻と末っ子と動物たち。2階には娘家族の部屋を計画することになりました。
三世代同居ということで、1階の寝室の上には子供部屋にならにならないように配慮し、飛跳ねに対する防音対策も行いました。
一方で、家族の距離感が遠くならないように、引き戸や可動間仕切りを使い、開け放つとつながることが出来るようにしました。
家の真ん中にある階段では、段板をスリット状にしたり、リビングに対して開口部を設けたりと開放性を増すことで、吹抜は設けられなかった分、1階と2階を少しでも空間的に繋げるように配慮しました。

完全同居型なので1階に計画したLDK、洗面、お風呂、玄関は全て共同で利用しので、家族が鉢合わせならないように行き止まりの無い動線計画にしました。
リビングは敷天井にする事で天井高さを高くし、家族全員が集まっても狭く感じないように心がけ、広いテラスはリビングの一部としてお孫さんたちや動物たちが自由に遊べるようにもなっています。

冒頭にも書きましたが「サザエさんスタイルの家」は、掃除も洗濯も、炊事も食事も、くつろいだり、入浴したり、二世帯が共同で暮らす完全同居型二世帯住宅です。
そんな家づくりに関わらせて頂いたことは、「つながり」をキーワードにしている松匠創美として、とても嬉しいものでした。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

【3】 家づくりのことば・・

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語がたくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

○ノボリバリ

横浜市で施工していた2つの物件が無事完成しまして お次は葉山と鎌倉です。先週の土曜日には葉山のクライアントの地鎮祭を行い いよいよ工事が始まるワクワク感が増してきました。

そんな時 構造材の見積伝票に書いてある「登り梁」と言うことばに目がいきました。
梁(はり)は 天井下・・柱と柱の上に横に渡す部材のことで よく天井板などを貼っていない家などで太い梁をみかけたりしますので 説明を聞かなくても知っているつもりでいましたが 横平行ではなく 傾斜のある「登り」と付くモノがあるとは思わなかったので驚きましたし ことばに対して“家を支える梁が空に向かって(登って)施工するなんてとっても縁起がいい!”んじゃないか・・と考えました。

ですが久保に話を聞いたところ 私の中で間違いがいくつかあることが今回もわかってしまいました・・。
「梁ってどんな物かわかる?」と聞かれ「太く・大きく・1本だけ」と返事をすると そうではないと言う答えが返ってきました。
屋根の重みを支える為には幾つか必要で 太くなくてはいけないということはないそうです。そして 縁起がいいかはさておき 空間を広く生かすために傾斜をつけて施工するということなんだそうです。

今回の物件は自宅にも近い場所なので 工事中そこのところを注意して見学してこようと思っていて そこから新しいことばも探してみたいと思います。

○登り梁(のぼりばり)=小屋組みにおいて傾斜して架けられた梁、登り木とも言う。 「建築用語辞典」岩波書店より

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美

https://hayama-ie.jp
▲身近な写真と共にブログ更新中

〒240-0112 神奈川県三浦群葉山町堀内785-4
Copyright (C) 2011 松匠創美 All rights reserved.

■ 第26号 ■

■□・・―――――――――――――――2010年07月21日

木の家を知る・建てる・暮らす

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

□こんな感じに過ごしてます・・

こんにちは、田村です。

今月の連休を利用して 長野県の松本市に遊びに行ってきました。

旅の前日まで 夏風邪をひいてしまい少々焦りましたが 当日はうまい具合に熱も下がり 朝6時ころ車に荷物を積んで 葉山を後にしました。

特に渋滞もなく お昼前には松本駅に到着。

お昼にカツカレーが美味しいというお店「たくま」さんへ。 外観が蔵造りのお店は ボリューム感と味が評判なうえ 松本民芸の家具が客席に使われていることが雑誌に取り上げられていたので 行ってみることにしたのです。

今回の旅の目的は「松本民芸家具」を見たり 触れたりすること。

お昼の後は「松本民芸館(松本市博物館付属施設)」に立ち寄りました。ここは 創館者の丸山太郎さんが「美しいものが美しい」という思いで 松本民芸家具を始め 国内外の民芸品を多数に収集した博物館です。

雑木林に囲まれた建物は 静かで気持ちの良い空間でした。

そして 松本市内を松本城を中心に観光しようと歩き出したのですが・・あまりの猛暑に 松本城に登ることも諦めて 早々とお宿に向かいました。

今回お世話になったお宿は 美ヶ原温泉(松本市)にある「金宇館(かなうかん)」さん。

昭和三年に建てられた木造建てのお宿は お部屋数も9部屋と とてもこじんまりとしていて 昭和のレトロな雰囲気の建具や家具(松本民芸家具)を 大切に引き継いでいるのが 随所に伝わってきます。

お風呂上り用にと 女将が手作りで漬けた“梅ジュース”を自由に頂くことができる談話室があって 金宇館さんのブログに「早い者勝ちですよ。」と書かれていたのを思い出し 荷物を置いてお風呂も入っていないのに 早々頂いてしまいました。
もちろん お風呂の後も(笑)

松本 2010_0718 043

「暑さに夏バテしそうになりますが、そんなときは天然クエン酸たっぷりの梅ジュースが一番です。」という心づかいがほんとうに素敵で 贅沢なのに派手さはなく とてもここちの良い また行きたくなるお宿でした。

そうそう お食事(創作懐石料理)も 最高で 「幸せになりました☆」とお礼を思わず言ってしまいました。

ここまでこうして書いてみると 最初の旅の目的「松本民芸家具」を見たり 触れたりすること・・よりも「美味しかった☆」という説明に熱がこもっているような?

やっぱり本当の目的は「美味しい物たべたいっ」でした・・白状します。

最後にカッコつけさせてもらえるなら・・松本の町は まち並みも美しくて 歴史も感じさせながら 新しいものも上手に取り入れられているように感じました。
松本民芸家具の作りも そんな背景があるからなのかな?と 思えた旅でした。

松本 2010_0718 052

松本 2010_0718 062

☆「松本民芸館(松本市博物館付属施設)」はこちら
http://ow.ly/2dNr0

☆信州 松本美ヶ原温泉「金宇館」さんはこちら
http://ow.ly/2dNub

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

こんにちは、設計をしている田中です。

梅雨が明け、関東地方にも夏がやってきました。

松匠創美の事務所では、当初エアコンは取り付けず年に数日ある、耐え難いほどの暑い日には「打ち水」をするなどして暑さを凌いでいました。
しかし、この2、3年の猛暑で、さすがに戸締りをした家で留守番をする看板犬達のことを思いエアコン取り付けることにしました。

松匠創美では、不覚にもエアコンを取り付けてしまいましたが 今日は、電気がない時代から受け継がれている日本人の「暑さ対策」の話しをしようと思います。

予てより日本の木造建築と言えば、夏の暑さ対策が建物の形を特徴付けていると言われています。
大きな開口部が家の中の風通しを良くし、深い軒先が強い日差しを室内の奥にまで差し込まないように遮ります。
瓦屋根は、瓦を重ねた隙間から熱を逃がすことで屋根が熱くなるのを防いでいました。

そして暮らし方の工夫の一つには、開口部の外に簾(すだれ)を掛けたり、軒先に葦簀(よしず)を立てて涼を得る方法がありました。

簾や葦簀は、太陽の高さに関係なく、深い日影を作り出しますが、風は良く通します。
開口部と簾、葦簀の間に空間を明けておくと、温まった空気が溜まらず、涼しい風が入りやすくなります。

また、竹や葦(あし・よし)のようにストロー状の素材が使われていることも、空気が温まりにくくする効果があるのではないかと思っています。

更に、打ち水や、簾、葦簀を水で湿らせて使うと涼風を得る原理はエアコンとほぼ同じで、意外にも高度なシステムだったりします。

そんな風に動力に頼らない、ちょっとした工夫を家づくりに活かしていきたいと思っています。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

□家づくりのことば・・

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

○仕口

私の名前は「あり」と言います。

ありと言うと 虫のありを思い浮かべる方が多いと思いますが 漢字では「蟻」ではなく「亜里」と書きます。

「田村亜里」四角い漢字が並ぶ地味な字体なので“蟻”という字に変えたいなぁ・・と 昔 友達に話したことがあります。

義という漢字が(入っていて) 正義とか忠義とか なんとなくカッコイイと思ったのです。

「やめておきなさい。」と 即ダメだしをされ 笑われましたが いまでも 蟻という字には 憧れがあります。

そんなこともあって なんとなく建築用語にも使われてないかな?と探してみたら「蟻」という用語をみつけてしまいました。

なんだか嬉しくなったのと アリってなんだろう?という疑問がムクムクと湧いたので 久保に教えてもらいました。

家を建てる際に 木材と木材を継いだり 組合せたりする部分を「仕口」と総称し 木材を継ぐ時には「継手」木材を組む時は「組手」と呼ぶそうです。

その仕口に「蟻」と言う形状があるということです。

蟻というのは 一番シンプルな仕口で 簡単な継手方法なので 柱・梁など強度が必要な木材には 「蟻落とし」「大蟻」などの蟻を応用した強固な納まりがあるそうです。

シンプルなスタイルで 実は臨機応変に変化できるところなど 名前と同様に私にも共通するところがあるような・・??

・・・そんな生き方がしてみたいです。

○継手(つぎて) 材料の長さが足りない時、木材の強度を落とさずに、木材を直線的に継ぎ足す際の方法(技術)。

組手(くみて) 直交(交差)する材料を、強度を落さずに接合する際の方法(技術)。

――――――――――――――――――――――――・・□■

■□・・――――――――――――――――――――――――

☆お付き合いいただきまして ありがとうございます☆

出会い・つながる・木の住まい
有限会社 松匠創美
https://hayama-ie.jp
▲身近な写真と共にブログ更新中

〒240-0112 神奈川県三浦群葉山町堀内785-4
Copyright (C) 2009 松匠創美 All rights reserved.