道路を造った家

神奈川県茅ケ崎市

クライアントとの出会いは、親戚から購入予定の土地に建っている古家を増築、リノベーションしたいというご相談の連絡からでした。 お会いして詳しくお話を聞きますと、その土地には道路が直接接しておらず、4軒の家で権利を共有している巾4Mの通路を介して道路に接続していました。 過去にはその通路を道路として使える手続きをしようとしたけれども、実現できなかったとの事でした。

現地に行き、土地や古家を調査し、接道していないことから建替えではなくご希望のリノベーションを提案、概算見積をして、ご検討頂く一方で、新築計画の可能性も探り始めました。 巾4Mの通路は、いくつかの課題をクリアすれば道路にする事が可能な事がわかり、また、道路が完成し再建築可能な土地に生まれ変わる事で土地の評価が上がる為、借り入れもしやすくなることから新築計画で進める事になりました。

新築計画は、まず道路を造ることから始まりました。これまで一度、道路にする事を失敗した経験を持つ権利者たちとの調整は、とても繊細で、沢山の時間が必要な事でした。初めから無理と決めつけている方や、高齢者の方にも納得してもらい、道路に接する皆さん全てに協力してもらわないとなりません。近隣との調整役は今後ご近所となるクライアント自らが立ち回って下さいました。一方で、新築する建物の打ち合わせも同時に進めていきました。 道路が完成する頃には最初のご相談から3年半が経ち、新築をお引渡しする頃には4年が経過していました。

こうして完成した家の敷地は、南北に細長い敷地です。 敷地の南東側からのアプローチで、築造した道路から見える外観は、クライアントご希望のガルバリウム鋼板の緑色です。 準防火地域ですが、工夫し玄関ドアは木製にしました。 玄関から風除室となるホールを抜けると、階段室がある廊下です。暗くなりがちな中廊下ですが、明るい2階から階段を通じて1階に光が届くように考えました。 1階には、2つの個室が南と北にあります。二つの個室は家族の成長に合わせて役割が変わっていきます。北側の個室も居心地良くなるように、近隣の建物の間を狙って窓を設けました。畑が見え景色が良いです。 2階は、LDKと和室です。南側に広いウッドデッキ、1階に通じている階段、ロフトと繋がっている高い天井、襖を引き込んだらLDKと二間続きになる和室は、視覚的にも温熱環境としてもワンルームで、高断熱で省エネルギー性を高める事で実現できます。

今回の「道路を造った家」は、実は、内装の漆喰と洗面所とキッチンのタイル貼もご家族でチャレンジしました。 きっと思い出深い家が完成したのではないかと思っています。

 建設地:神奈川県茅ケ崎市
工事種別:新築
工事面積:89.42㎡
認定低炭素住宅