■ 第62号 ■

■□・・―――――――――――――2011年12月21日

木の家を知る・建てる・暮らす

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□ 目次

【1】 こんな感じに過ごしています

【2】 「二宮まち歩き」

【3】 家づくりのことば 「 アプローチ 」

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【1】 こんな感じに過ごしています

こんにちは 田村です。

先日 久保と田中が「二宮町に行ってくる。」と言うので なにがあるんですか?
と聞くと「二宮のまち歩きツアーと言うのがあって、建築家のヨシダイソヤが設計した自邸などを見学しに行くのよ。」と教えてくれました。
名前のイソヤを漢数字で“五十八”と書くと聞き 私の好きな数字58を名前に持つ吉田氏のことが気になってしまいました。

その夜 相方の家のテーブルの上に置いてあった 御殿場(静岡県)の『とらや工房』のパンフレットに何気なく目を向けると まるでリンクしたかのように「建築家・吉田五十八」の名前が載っていました。そこには 羊羹で有名な虎屋が開いたとらや工房(和菓子工房)の敷地内を散策する 吉田氏と第56・57代首相を務めた岸信介氏のイラストが描かれていて そこには2人の他に 工房兼カフェの建物と岸氏の自邸も紹介されていました。

どういう関係なのかを確かめると 岸邸を設計したのが吉田氏でした。2003年に岸邸が御殿場市に寄贈されたことをきっかけに 市が市民の憩いの場をつくろうと御殿場東山ミュージアムパークとして整備を進め その隣の酒井邸別荘跡に とらや工房をオープンさせて一つの敷地にまとめ カフェでお茶をしたり岸邸を見学(有料)できる様子を 今は亡き岸首相と吉田氏が案内しているという内容でした。  
その事を葉山の食材屋「タントテンポ」の斎藤さんに 静かでいいところなので行ってみたら。と聞いて まず相方が一人で先に行ってきたばかりだったのです。

このタイミング?を逃してはいけないと思い 自分も早々行ってみることにしました。

敷地手前にある駐車場に車を停めて 入り口にある大きな山門をくぐるとその先には竹林がつづく小道になっていて 途中工房と岸邸に向かう道が別れていましたので まずは岸邸へ足を向けました。
建物はやはり首相を務めた人だけあって 日本家屋の大きなお屋敷でしたが 中へ入ってみると 印象としてはとても素朴で落ち着きがあり(きらびやかな内装を想像していたので・・)いい意味で驚きました。その反面 一見よくあるような畳のお部屋にも その当時の最新の暖房機が格子に隠れて 表には見えないように設置されていたり 小川の流れる和風庭園が美しく見渡せるように 広間のサッシが全て戸袋に仕舞えるようレールが何重にも敷かれていたりと 建築家ならではの工夫がされていて面白い造りになっていました。

岸信介邸

そして次に工房へと向かいました。岸邸同様にこちらも美しい和風庭園があり それを眺められるように庭に沿ったアーチ状の造りの建物は 半分がお菓子を作る工房もう半分が売店とカフェになっていました。
(こちらは建築家の内藤廣さん設計で 2007年に完成した建物です。)
カフェと言っても和菓子屋さんなので お汁粉やところてん、どら焼きなどをお茶と一緒にいただきます。天井から床まで木を使ったカフェスペースは その香りと温かみが感じられとても落ち着きました。

とらや工房

新旧の建築家の建物が同じ敷地内でゆったりと鑑賞できたので 気持ちもお腹も満足な一日でした。

吉田氏の設計した建物は葉山にもあるそうで 県立近代美術館(葉山館)近くの山中に建つ「山口蓬春記念館」がそうだと言う事を知りましたので次の機会に行ってみようと思います。
久保のブログには二宮町の吉田氏自邸などを紹介していますので そちらもぜひお読みください。

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【2】 「二宮まち歩き」

こんにちは、設計の田中です。
田村が書いてくれた吉田五十八(いそや)さんという建築家は、個人宅から公共建築に至るまで和風の精神を引き継いだモダン建築の設計に取り組んだ方で、その作品は近代数奇屋建築と呼ばれ日本の建築史の中ではとても有名な方です。
そんな、吉田五十八さんの旧自邸が見られるという事で二宮まち歩きに参加してきましたので、今日はその時のことをご紹介したいと思います。

二宮まち歩きは、湘南邸園文化祭2011 二宮会場として催されました。
神奈川県では多くのNPO団体やその他の団体が、地元の文化や邸宅庭園を伝え残そうと努力をしています。
湘南邸園文化祭は、そんな各地のNPO等がそれぞれの地元の葉山、逗子、鎌倉、藤沢、茅ヶ崎、平塚、大磯、二宮、小田原を会場にしてまち歩きを企画開催し、それを互いに連絡調整することによって、それぞれの催しが湘南地域全体としての相乗効果を大きく生み出せるようにとの趣旨で2006年から毎年開催されています。
http://teien-festival.seesaa.net/

まち歩きは、あいにくの雨の中JR二宮駅からスタートしました。
二宮駅には昔、内陸の秦野とから東海道の二宮へと煙草の葉を運ぶのに使われていた湘南軽便鉄道が乗り入れていたという説明を聞き、今も駅前に残る旧湘南軽便鉄道の本社を眺め、かつて線路だったという道路を昔の町並みを想像しながら次の目的地へと向かいました。

次の目的地、果樹公園に到着し、神奈川県園芸試験場跡に当時から残るブドウ、柿を見学し、梨の品種、「幸水」の原木も神奈川県の天然記念物として保存されている説明を受けました。

昼食を取り、二宮のまち中に建つ古い住宅を眺めたり実際に中に入れてもらったりしながら、いよいよ旧吉田五十八邸へ向かいます。
その旧吉田五十八邸は、現在も個人宅として利用されている為に場所は明らかにされていなく、見学と言っても近所から眺めるだけです。

建築家の自邸と言えば、建築家の考える理想の建築だったり、普段の仕事では試す事の出来ない実験建築だったりと、様々な思いの詰まったものになっているものです。
インターネットもない時代、東京育ちの吉田五十八が東京から電車で一時間以上も離れた二宮に居を構えたのですから何かがありそうで楽しみでした。

実際にその場所に到着すると、旧吉田五十八邸は深い緑に囲まれて全体像を見る事が出来ませんでした。
それでも、木々の合間から見えるその佇まいは誇り高くも感じましたし、謙虚さも感じられました。
印象に残る瓦屋根の角度は、当時の常識を破ったものであったかも知れませんが、伝統を踏みにじった様にも見えない絶妙さを感じました。
なんと言っても二宮という海が近い土地柄にも関わらず眺望よりも周囲の景色に溶け込む事を選んだ事に感動しました。
http://www.hayama-ie.jp/blog/archives/10281

旧吉田五十八邸の見学の後は、萩本欽一さんの家の前を通り抜け、ある建築家さんの自邸を見学し、
吉田五十八が設計したという説のあるお宅や二宮の教会を見学して解散しました。

今回は二宮の農業や産業、建築について地元の「まちづくり工房「しお風」」の皆さんの説明で知ることが出来ました。
その中でも住宅建築は実際に住まわれているものばかりで、地元の皆さんにも大切にされいました。
松匠創美でもいつも「愛される住まい」を目指していますので今回のまち歩きはとても良い刺激になりました。

設計:久保歩美・田中伸二
松匠創美の「家づくりの考え方

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【3】 家づくりのことば

私(田村)が 事務所内で飛び交う会話の中に「今のは何だろう?」と思う建築用語が たくさんあります。
なんとなく聞き覚えのある言葉や 初めて耳にする言葉などをここで少し紹介したいとおもいます。

○アプローチ

「こんな感じに過ごしています」でも紹介しましたが 久保の「二宮のまち歩きツアー」のブログを読んでいると“アプローチ”と言うことばが2回使われていることに気が付きました。
目的の個人宅(吉田五十八氏が設計)へお邪魔する際に その玄関先のアプローチがとても素敵だったことや 緑豊な美しい散策道が実は建築家さんの自邸までのアプローチだったことなどが書かれています。

アプローチということばを私は漠然と 家の敷地から玄関までの道・・くらいと普段はあまり意識していませんでしたが ブログを読んでからは葉山の住宅の玄関先を何気なく注意して眺めてみると 各家庭の個性というか顔がうかがえるようでとても興味をひきました。

最近では敷地入り口から玄関まで距離があるような大きな住宅はほとんどありませんが 同じ条件で建てられているような分譲住宅などでも アプローチのアレンジの仕方で家の表情も随分変わる気がしますので とても大切なことがわかりました。

よく母に「アプローチに咲いた○○(花)が綺麗だったでしょ?」と家に帰ると言われるのですが 気づかないことが多くて怒られます。
これからは 我が家の顔だと思って意識してみようと思いました。

○アプローチ
=ある特定の対象に達するための交通動線、建築への取付け通路、住宅団地への進入路、さらに、地域や施設への導入交通路を含む。
「建築用語辞典・岩波書店」より

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年が明けて間もなく大きな地震、津波、そして原子力発電所の事故などが起き、下を向いてしまいそうな気持ちになることも多いなか、読んで下さっている皆さまがいると思うと頑張れました。ありがとうございます。

次号は お正月明けまして 1月25日(水曜)に配信いたします。

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